Adventure-J.com_インタビュー_田中陽希さん

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インタビュー -05

田中陽希 さん

4年前、明治大学を卒業し、体育教員の道を歩むべく日体大へ進学し、それと同時期に明治大学卒業まで続けてきたクロスカントリースキーの延長で以前から興味のあった山岳マラソンを日体大進学とともに始めたというアドベンチャーレース。
国内で唯一ともいえるプロアドベンチャーレーサーの田中正人氏の元でトレーニングを積み、世界のアドベンチャーレースに挑戦する若者の一人。最近はコースディレクターとしても活躍。

■アドベンチャーレースを知るきっかけを教えて下さい。

4年前、日体大進学と共に山岳マラソンを始め、富士山岳登山レースに出場。その次の目標としてレースを探しているときに、日本山岳耐久レースを知りました。その夏の教員採用試験で不合格になり、長い夏休みに入り、勉強もせずに毎日走りなれた十勝岳連峰に通う日々を暮らしていたとき、日本山岳耐久レースのエントリーをするべく大会HPを閲覧したんです。なんとなくリンク集にある「アドベンチャーレースの超人 田中正人のホームページ」の“アドベンチャーレース”という文字にすごく興味が沸きました。
 そのページを見ると「トレーニング生募集、選考基準の中にハセツネ完走(当時)」と書かれていました。さらに、その内容を読んで驚愕したんです。なんとなく教員への道を歩き始め、なんとなく山岳マラソンをはじめの“なんとなく”の生活を送っていた自分の中に光がさしたような感じでした。その場ですぐに鳥肌が立つようなぞくぞく・わくわくする感じがしたんです。
 自分の中で「今の僕はこの世界に行くべきだ」と直感で判断し、すぐに田中さんにメールで連絡したんです。これが僕とアドベンチャーレースとの出会いでした。

■実際に出場するきっかけは?

海外レースの出場は、2007年の中国が初めてでした。しかし僕の中での本物のアドベンチャーレースは今回のパタゴニアでのレースだったと思っています。このチームで最低10年はやろうと思ったので、このチームにいる限り、毎年アドベンチャーレースに出場することになります。つまり出場するきっかけはなく、出場することは“必然”でした。

■最初に出場したアドベンチャーレースはどのレースでしたか?そのときのエピソードを教えて下さい。

アドベンチャーレースというカテゴリーであれば、2008年のポルトガルでのレースです。今思い返せば、あの頃のチームはバラバラでした。レース初日の夜にメンバーの女性が転落し骨折。レース続行不可能になりかけましたが、ステージをキャンセルし、痛み止めを飲んでレース再開。上位進出が望まれましたが、悔しい結果となったレースでした。

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■これまでいろんな大会に出場していると思いますが、一番印象に残っているレースは?

この世界に飛び込んでまだ3年。海外レースは3回しか経験していません。その中でやはり、今回のチリ・パタゴニアでのレースが一番印象に残っています。レース展開は淡々と、とはいかなかった部分もありましたが、初めて本物のレースをしているという感じが強く、自分自身もチームのために動くことのできたレースだったからです。

■アドベンチャーレースに出場すると決めたとき、一番困ったことは何ですか?

やはり、資金ではないでしょうか。本来なら全員で行うべきところですが、資金集めはチームキャプテンの田中さんが主に行っています。毎年、レースに参加し続けられるのも、田中さんの今までの積み重ねにより、多くの支援者や応援していただける方々に支えられているからです。
ちなみに、その次に困っていることは語学力です。今年からSueさんによる英会話レッスンが始ります。

■得意とする種目はなんですか?

僕の場合は水もの系(ラフティング・カヤック)とMTB(特にダウンヒル)が好きですね。また、ナビゲーションとロープものも得意です。ちなみに、ポルトガルのレースにあったインラインスケートも得意分野です。

■逆に、一番苦手とする種目はなんですか?

しいて挙げるならトレッキングですかね~と言うよりもトレイルランは苦手です。ただ、レースでなく練習で山を歩いたり、走ったりすることは好きです。

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■1DAYのレースで使っている道具を教えて下さい。

MTB:ブリジストンアンカーフレーム(クロモリ)のバイク(今年のパタゴニア使用です)
ヘルメット:LIMAR
ウェア:THE NORTH FACE 上 SUltrawickZipUP、下 BIOTEXTIGHTS
コンパス:SILVA トレッキング→タイプ5、 MTB→タイプ3
高度計:CASIO  PROTREK1300
シューズ:トレイルラン→ THE NORTH FACE  FireRoad もしくは RuckyChucky、MTB→ adidas  (商品名わかりません)
パック:Macpack  アンプレース25
ヘッドランプ:PETZL  RXP
ハーネス:PETZL アジャマ
スリング:MAMMUT Contact Slings Dyneema® 8 mm(60CM)
カラビナ:マタビナ→PETZL ATTACHE 3D、セルフビレー用→C.A.M.P.ベースカラビナ ツイストロック アノダイズ
下降器:BlackDiamond スーパーエイトもしくはATC(国際レース時使用)
グローブ:クライミング→ホームセンターで売っている作業用グローブ、MTBやトレッキングなど→THE NORTH FACEマルチグローブ
マップケース:旭化成 フリーザーパックもしくは100均のA4サイズのジップロック
レインウェア:THE NORTH FACEE RAINTEX Plasma
ハイドレーション:CAMELBAK(3L)

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■使用している道具で工夫している点があれば教えて下さい。

アドベンチャーレースはなるべく軽量なギアを選びます。そして、さらに選んだギアを軽量できないか考えます。
 使用しているMacpackのバックパックは形状を維持する中板を外したりしています。
また、セルフビレー用のカラビナにタイオフしてある部分をテープなどで固定しています。これは、装着後の移動などでスリングが緩んでしまいスリングのずれを予防するためです。使用時にスムーズに使うことができます。
 携帯食の中で柿ピーなどを大口の500mlのペットボトルに詰めかえたりします。かさばりますが、レース中スムーズに補給ができるし、水に濡れることがないこと、ゴミが出ない理由から使用しています。しかも空いたペットボトルに水などの補給にも使用できます。ハイドレーションだと補給が面倒じゃないですか。

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■1DAYのレースと2DAY以上のレースの大きな違いはなんですか?

大きな違いとしては、当然距離は違いますが、やはり食料の量ではないでしょうか。
最近は2日以上のレースはステージ制でノンストップレースは少ないですが、行動し続けるにはエネルギーとなる食料をどのくらい必要で、どのくらいこのセクションで携帯するのかを考えなければなりません。さらにレース中、もしかしたらアクシデントで予想以上に時間がかかってしまったり、停滞を余儀なくされた時のことまで考えなくてはいけません。これはレースだけに限らず、プライベートでの登山や練習時でも同じことが考えられます。この量は個人差がありますが、チームメイトがこの量だから大丈夫だという安易な判断ではチームに迷惑をかけますし、自分自身も苦しい思いをしてしまいます。
 僕はレース中、携帯したものが必ず残ります。それは、非常用に使えるものだからです。残ってなくてぎりぎりだったことがある人は携帯する量をもう一度考えた方がいいでしょう。事前に練習で自分に合った携帯量を把握しておくことをお勧めします。また、レースになると軽量を考えますが、僕の場合はレース中の過酷な状況でもなるべく体が受け付けてくれるもの、食べやすい物・好きなものを選んでいます。

■双方のレースの難しい点は?

難しい点は、1DAYの場合は一日完結ですので、ゴール時にぶっ倒れても問題ありません。しかし2DAYS以上のノンストップレースの場合、チームのベストなペースを維持するのが難しいでしょう。
日数が長くなれば長くなるほど、精神力も体力もどんどん削られていきます。そのなかで、前半から飛ばしすぎれば、途中でダウンしてしまいますし、逆に慎重になりすぎて遅くなれば、関門時間に引っかかったり、後半からスピードを上げようと考えていても上げられなかったりするものです。そこまでの行程も平坦な道を行っているわけではありませんし、睡眠不足で体力は抑えていても徐々に落ちているからです。
 また、チーム内のアクシデントや他のメンバーの眠くなるタイミングも違うため、想定したスピードよりも遅くなる可能性は高いでしょう。
 渡された地図で自分たちの力をしっかりと把握して、どのくらいでゴールできるか?ここまでの所要時間はどのくらいか?ここまでは何時に着いておきたい・何時に着かなくてはいけない、などと考える必要があります。
そうすれば、どのくらいのペースでいいのかがわかります。これが先の展開が読みづらいということもあり、難しいところではないでしょうか。

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■1DAYと2日以上のレースのそれぞれの魅力は?

1DAYの魅力はレースの内容によりますが、僕の中では入門編と考えています。
種目が多く初めてやる人には敷居が高いのがアドベンチャーレースですが、まずは1DAYレースから参加する。気軽に参加でき、アドベンチャーレースを知るきっかけにもなるでしょう。コンパクトにまとまり、アドベンチャーレースを体感できるのが1DAYレースの魅力ではないでしょうか。
 2DAYS以上のレースでの魅力は本物のアドベンチャーレースが待っています。
特にノンストップレースに限られますが、不眠不休でゴールを目指すことにより、日常生活では体験できないことが盛りだくさんです。何度も繰り返される強烈な睡魔との闘い、激しい感情の浮き沈み、チーム内のトラブルにどう対処するか?暗闇の中での行動、ヘッドライトだけを頼りに進むナビゲーション、関門時間との戦いなど1DAYレースとは比べ物にならない世界が広がっているのが2DAYS以上のレースの魅力ではないでしょうか。

■あなたにとってアドベンチャーレースの魅力を教えて下さい。

冒険心が掻き立てられ、行ったことのない場所へ地図とコンパスを頼りに突き進む、個人レースではなく支えてくれる仲間がいて、仲間とともに喜びを分かち、時には衝突することもある、幾度となく降りかかる脅威と光、それを体験させてくれるフィールドが自然だということがこのレースの魅力ではないでしょうか。これは、体感したものでなくては得られない魅力でしょう。

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■アドベンチャーレースに出場するようになって何か変わったことはあり ますか?

自分で言うのもなんですが、ここ3年で自分自身が急成長していると思います。というよりも、環境の変化が僕を成長させてくれたというべきでしょうか。自分の限界は自分自身がコントロール(決定)しているものだということもわかりました。人間、追い込まれれば限界など関係ない。激しい睡魔に襲われても20~30分格闘すれば、治まることわかりましたし、カラダは正直な反応をしますが、自分の精神力で抑え込むことも逆に放出することもできます。その反面、自然の脅威・恐ろしさも十分ではありませんが、体感することができました。その結果、第6感(勘)が以前よりも研ぎ澄まされた感じがします。(普段はありませんが)
 これからもまだまだ、変化していくと思います。この世界は日々変化する自然と同様、流動的なもの動き続けて今後の変化を楽しみたいと思います。

■アドベンチャーレースに興味を持たれている方に、なにかアドバイスをお願いします。

体感したことのない世界がここには広がっています。まだ体感したことのない人は絶対にした方がいいですよ。とはいえ種目が多いですし、装備も多様で使い方が分からなかったり、練習するフィールドが無かったりなど敷居の高いことばかりです。でも、自分自身の気持ち一つでその敷居は乗り越えられます。
 いろんなことを経験することで、自分の意外な一面や新たな発見があったり、自然を存分に体験することができます。それでも迷っている人は、大会運営にボランティアとして参加して、間近でアドベンチャーレースに触れてみてください。わからないことがあれば、僕らのチームにメールなどで連絡していただければお答えができます。
 多くの人がアドベンチャーレースを体験して、HAPPYになってもらえるといいですね!

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ご協力、ありがとうございました!
(写真:パタゴニア・エクスペディア@田中正人)

プロフィール

田中 陽希(たなか ようき) さん
チーム名:Team EASTWIND
26歳、北海道富良野出身

【戦歴】
08年 トランスジャパンアルプスレース 6位
08年 PORTUGAL XPD RACE 15位
10年 Wenger Patagonian Expedition Race 7位

2010年4月1日現在

第1回 鈴木啓一郎さん

普段は化学会社で新規商品の開発を行っているという鈴木啓一郎さん。
休日になるとカヤックを漕いだり、MTBに乗ったり、スキーを履いて雪山に登ったり、高速登山をしたり...、とにかく遊びまくっている(らしい)。そんな鈴木さんが所属するチーム“とれとれ東龍門”は、これまで国内で開催されたアドベンチャーレースに出場しているチームの中ではベテランチームの一つ。さらに今年初開催となったアドベンチャーレーシングジャパンシリーズ(以下、ARJS)では、九州から参戦する木元氏や女性メンバーと共に総合優勝に輝いたこともあり、第一回目のインタビューは鈴木啓一郎さんに決定。(08年9月27日)

鈴木啓一郎さんのインタビュー

第2回 宮内佐季子さん

国内でアドベンチャーレースが初めて開催されたのは約10年前の1999年。長野を舞台にしたサロモン・クロスアドベンチャーだ。当時、サロモン・イーストウインドの女性メンバーとして出場していたのが、宮内佐季子さんだった。現在、彼女は国内のアドベンチャーレース界を牽引するメンバーの一人。一時アドベンチャーレース界から姿を消し、オリエンテーリングの世界で活躍していた彼女だが、昨年アドベンチャージャパンレースシリーズの最終戦でコーディディレクターとして活躍し、またエクストリーモの最終戦や年末にはポルトガルのレースにも参戦し、選手として出場。ちなみに国内のアドベンチャーレースでコースディレクターの役割を担った女性としては初!そんな彼女の今後、またどんな道具を使用しているのか聞いてみた。(09年1月23日)

宮内佐季子さんのインタビュー

第3回 芝田敏仁さん

国内でアドベンチャーレースが開催されたのが、1999年。芝田さんはその2年後、どちらかというとファミリー向けの大会として開催されていた“北アルプス山麓Adventure Games”に仲間と共に参加した。以来、数年にわたりレースに出場し、最近は表彰台に立つ姿をよく見かける。
また会場には奥さまの姿も♪ 同じチームで出場することは希だが、アドベンチャーレースを選手として、また大会スタッフとしてご夫婦で楽しんでいる。(09年4月17日)

芝田敏仁さんのインタビュー

第4回 鈴木真樹子さん

03年、“ももいろ学園アドベンチャー部”でデビューして以来、特にここ1〜2年は国内で開催されているレースで頻繁に姿を見かける機会が増えた鈴木真樹子さん。“かーさん”という愛称で周囲から親しまれ、特に入賞候補になりそうなメンバーから引っ張りだこだ。どちらかというとアスリートという雰囲気ではないが、彼女の持つ平均したスキルの高さだけでなく、個人スポーツではないアドベンチャーレースならではの“チーム”という意識を彼女は上手にまとめ、チームメンバーの実力を発揮させているようにみえる。今回はそんな彼女をインタビュー♪(09年8月17日)

鈴木真樹子さんのインタビュー

第5回 田中陽希さん

4年前、明治大学を卒業し、体育教員の道を歩むべく日体大へ進学し、それと同時期に明治大学卒業まで続けてきたクロスカントリースキーの延長で以前から興味のあった山岳マラソンを日体大進学とともに始めたというアドベンチャーレース。
国内で唯一ともいえるプロアドベンチャーレーサーの田中正人氏の元でトレーニングを積み、世界のアドベンチャーレースに挑戦する若者の一人。最近はコースプロデューサーとしても活躍する。(2010年4月1日)

田中陽希さんのインタビュー